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2010/1/19 父からのメール


作家インタビュー 青柳森

竜介君、私がサンケイ新聞で作家インタビューをしていたことを思い出しました。言っておかないと残らないので、少し書いておきます。

三島由紀夫 は私に薔薇の花のピンクのスリッパをすすめ、ツインベッドルームに招じ入れました。今から思うと一寸ヘンですが、その時緊張していて別にヘンとは思いませんでした。

石川達三 氏には最晩年にお会いしました。健康が優れず不機嫌で、怒りっぽかったのを覚えています。何かに怒っていました。もっとも、この人は芥川賞の「蒼茫」以来常に何かに怒っていて、それをエネルギーにして作品を書いていました。

山田風太郎 氏は、私のような者が、とか、こんな下らぬ作品で、とか、あまりに何度も繰り返すのでついうっかり本当にそうかしらと思ってしまうほどでした。謙虚で偉ぶらず、それもスタイルでなく、痛烈な戦争体験から生れた自分はただ生きてきただけだと言う、赤子のような心の持ち主でした。


遠藤周作 さんはスタイリスト、部屋にベルのウイスキーボトルを飾っていました。格好良かったので私も早速ベルウイスキーを買いました。話は韜晦するような物言いでした。細かいことはもう忘れてしまいました。(注:写真のベルウイスキーは恐らくその時に買ったものと思われる)

和田芳恵 さんは生活が安定した頃にお会いしました。あとひき煎餅をご馳走してくれ、どうです美味いでしょう!と言ったのを覚えています。モト新潮社社員でオヤジのことをよく覚えていて呉れました。 思い出すまま記します。もっと一杯あるのですが取り敢えず。